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2019.09.23
服部 文哉先生のパワエレ講座3

回路の肝:受動素子

それではそろそろパワエレ回路の肝となる素子のお話をしましょう。今回は受動素子の抵抗、インダクタ、キャパシタのお話です。これらの素子は電源(電圧源と電流源の回路図記号:図1)の電圧とか周波数に従順です(笑)。なので、受動素子と言われます。一方で、その反対の素子は能動素子と言われます。能動素子は電圧と電流の大きさや周波数を任意に変化させることができます。ただ、能動素子に関してはまた別の機会にお話しましょう。それでは早速、受動素子を見ていきましょう。まず、図2 に抵抗、インダクタ、キャパシタの写真を示します。抵抗は図2(a)の写真の通り、可変抵抗、電流検出やブリーダ抵抗など用途によって種類はさまざまです。私の会社の方では最近ニッコーム株式会社殿の表面実装品をブリーダ抵抗として使わせてもらいました[1]。写真でN と表示されている部品です。次にインダクタです。図2(b)に示す写真の通り、電圧や電流あるいは周波数によって使用する巻線やコア材料が変わってきますので、こちらもいろいろな種類があります。今回は老舗カスタムトランスメーカーのポニー電機株式会社殿の写真を拝借しました[2]。最後に図2(c)のキャパシタです。こちらは私が写真を撮りました(汚くてすいません)。キャパシタもインダクタと同様で、電圧や電流あるいは周波数によって材料や構造が変わってきますので、種類はさまざまです。では、次に受動素子の振る舞いを考えてみましょう。

8-1zu

 

受動素子の振る舞いpart1

今回は理想的な受動素子の振る舞いをお話します。

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抵抗は回路図記号で描くと図3 の通りで長方形をしています。「あれっ??」っと感じたあなた…そうです、私の世代はギザギザの形をしていました。これで年齢がわかりますね…。以降、抵抗は長方形なので悪しからず。ところで、抵抗と言えば“オームの法則”に従いますので、電圧と電流が比例します(次の通り)。
V = IR
「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、実験となるとこのイメージを忘れてしまって、苦労しますので、侮れません。あと、抵抗の他のイメージはエネルギーを熱に変える素子ですかね。そのため、ヒーターにも使われています。続いて、インダクタです。交流理論でインダクタと言えば周波数に比例してインピーダンス(交流時の抵抗)が大きくなります。抵抗がない理想のインダクタでは電流位相が電圧位相より90°遅れます。また数式でのインダクタ電圧と電流の関係は次の通りです。

8L shiki

なんのこっちゃ?ですよね。もっと簡単なイメージ考えましょう。これは私の恩師、奈良高専の石飛先生(図4)からのご教授いただいたのですが、先ほどのインダクタの特性を分かり易く言い換えると、・インダクタは電流の変化を嫌がる。です。しっくりきませんか?電流が電圧に対して、90°遅れるということは、電流の変化を嫌がるというイメージです。これを念頭にいれると、パワエレ回路の動作も読み解いていけます。次にキャパシタです。交流理論でのキャパシタと言えば、インピーダンスは周波数に反比例して、抵抗がない理想のキャパシタでは電圧位相が電流位相より90°遅れます。また数式でのキャパシタ電圧と電流の関係は次の通りです。

8L shiki
これを先ほどと同様に考えますと、以下のことが考えられます。・キャパシタは電圧の変化を嫌がる。となります。「よくわからんっ!!」ですかね(笑)。今回は数式が出てきましたが、次回は図を使って、これをもう少し分かり易く説明していきましょう。今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。

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sensei

参考・引用文献

[1] ニッコーム株式会社HP.
https://www.nikkohm.co.jp/
[2] ポニー電気株式会社HP.
http://www.pony-e.jp/
[3] 国立高専研究情報ポータル.
https://research.kosen-k.go.jp/