インバータ
さて、前回のクルマのなかみではインバータがでてきました。
そこで本日はインバータのお話をします。ただ、まずはクルマの中で使われている三相インバータではなく、理解を深めるために単相インバータからお話を進めたいと思います。
みなさん、インバータは覚えていますか?そうです。直流から交流を生み出すDC-AC 変換が可能な電力変換装置です。
単相という1 つの交流、家庭のコンセントに来ているような交流をというイメージです。
多分、厳密にいうと「1 周期にわたる平均値がゼロの周期的交流が同じ周期時間で1 つ存在すること」かと思います…[1]。
それでは図1 には単相インバータの中でもハーフブリッジ回路を使ったハーフブリッジ形の単相インバータを示します。
この単相インバータは2 つの電源Vin/2 と2 つのスイッチS1、S2 から構成されます(これがハーフブリッジの構成?)。
また、過去にも説明したと思いますが、各スイッチの部分を上アームとか下アームといい、まとめてレッグという言い方します。
もちろんですが、スイッチの上下は短絡してはいけないので、交互に動作しますよ。
では交互に動作させた場合、負荷側の電圧と電流はどうなるのでしょうか?一緒に考えてみましょう。図2 に負荷側へ抵抗を接続した単相インバータの例を示します。ここで負荷側の電圧をvo、負荷側の電流をio とします。
図3 の通り、2 つのスイッチS1、S2 が交互いオン/オフすると、出力波形は図4 の通りとなります。
各スイッチのオン/オフで出力抵抗に±Vin/2 の電圧が印加され、出力電流には±Vin/2Ro の電流が流れています。ほら、直流が交流になっています。なんだっ、簡単だなぁって思いませんか?ちなみにですが、このような純粋な負荷(出力)はありませんので、今後モータのことも考えて、インダクタと抵抗のLR 回路の負荷もついでに考えてみましょう。 |
図5 にLR 回路とその動作波形を示します。
このインバータの動作と負荷側の動作波形はそれぞれ図6 と図7 の通りです。 …あれっ?昔見た波形に似ているような…。そうです、過渡現象です。つまり、単相インバータ+LR 回路といっても負荷側の電圧や電流波形は過去に勉強した簡単な過渡現象の動作となるのです。これを見ると、過渡現象の勉強の必要性がわかってきませんか!?( *´艸`)。 |
本日はここまでなのですが、残念ながら…宿題です。
モータを回転させるためには正弦波電流が必要なのですが、先ほどのLR 回路で負荷側に、例えば周波数60Hz の正弦波電流をつくるためにはどういった電圧を負荷側に印加すればいいでしょうか?
是非とも考えてみてくださいね!!
参考・引用文献
[1] スイッチング電源技術用語辞典編集委員会, “スイッチン
電源技術用語辞典”, 日刊工業新聞社