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2020.12.17
忍者先生のパワエレ講座4

三相インバータ

 

今年はコロナの影響でどこにもお出掛け、家に閉じこもってた方もおられると思います。私もそのひとりでした・・・。早くコロナが落ち着いてほしいですね。

さて、今回は三相インバータのお話に入りましょう。実は、パワエレ講座11でその回路図は出ています。

思い出せましたか?そうです、トヨタ第三世代のプリウスPCU方式で使われていた回路方式です(図1)。三相インバータは単相インバータに対して、スイッチで構成されたレグが1つ増えています。復習ですが、レグは上スイッチと下スイッチの回路構成のことです。例えば、S1とS2、S3とS4、S5とS6のそれぞれがここで言う ‟レグ構成” になります。三相インバータは3つのレグから構成されており、この出力側がモータなどに繋がっているというわけです。

 

 

では早速、三相インバータの動作を考えてみましょう。考えを簡略化するために、図2の通り、入力電源電圧を等価的な2つの直列電圧に分割して考えてみます[2]。なんで?ってなるかもしれませんが、ここはそう考えてみる!という気持ちで進めてください。また、その中点電位は理解を促すために0Vします。この0V電圧を基準として(0Vからみた中点の電位)、各レグの中点電位Vu、Vv、Vwを図3の通り定義しました。三相インバータは各レグ間から出力される電流位相を120゜ずつずらします。120゜ずらすって何のこと?ってなりますが、各レグ間のスイッチのオン/オフ信号を進ませる、あるいは遅らせるとお考えください。これを図示したのが図4の通りです。スイッチング周期などの1周期分に着目して、この1周期の間隔を360゜と呼ぶことにします。つまり、波形の1周期に円の回りを一回転したのと同じ意味を与えているわけです[3]。これで各レグの出力に正弦波電流を生成すると、例えば、図4の黒の正弦波波形は赤の正弦波波形から、120゜進んでおり、青の正弦波波形から観測すると、黒の正弦波波形からは120゜進んでいるということになります。

 

今回はここまでにしましょう。なんのこっちゃって感じなので、今回は三相インバータの電流が各レグで位相が違うと覚えておいてください。次回はシュミレーションとともにこれを示していきます。ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

 

 

参考・引用文献

[1] EVALUATION OF THE 2010 TOYOTA PRIUS HYBRID SYNERGY DRIVE SYSYTEM.

https://info.oml.gov/sites/publications/files/Pub26762.pdf

[2] 高木 茂行他、‟エンジニアの悩みを解決 パワーエレクトロニクス:パワーデバイスを使いこなす設計・計測・自動車への展開”、コロナ社

[3] かないまる Web:http://kanaimaru.com/